単片を解剖する

単片で、製造の違いなどを識別する方法を記します。

ほのか(シール式)
最初に、一番単純なシール式”ほのか”を見ましょう。

2枚とも同じハンマー投げ室伏広治選手の写真です。周囲の目打に注目して下さい。2枚の目打ちの間隔が明らかに違います。左側が粗く、右側が細かですね。この違いは、製造元の違いによるものです。粗い左側が国内で製造し、細かい右側がイギリスの会社で製造したものです。
シートでは、次の画像で示すように、銘版ですぐに区別出来ます。


上の「国立印刷局製造」が国内で製造したもので、下の目のようなマークがイギリスの会社(ウォルソン社)で製造したものです。国立銘は、ほのかが出た当初(2003年12月)から出現し、2004年9月から2005年3月までの間、ウォルソン社銘が出現し、再び国立銘に戻っています。その銘版の違いが単片でも、目打のピッチ(間隔)で容易に区別できるのです。普通切手では銘版違いは銘版が付いていないと区別出来ないのですが、写真付き切手だと単片で銘版違い分かります。単片で銘版違いが楽しめる所が写真付き切手ならばでの面白さでしょう。

なお、目打の顕著な違いは、間隔の違いの他に、もう一つあります。

切手本体とタブ(写真部分)との間の目打の形状が全く異なります。左側のミシン目状が国立銘で、右側の独特な波目状がウォルソン社銘です。
で、タブ(写真)部分が取れてしまった場合、国立銘の切手はいびつな形に、ウォルソン社銘はきれいな形になりますね。

話が逸れますが、写真付き切手には、スタンダードデザインとオリジナルデザインがあります。写真付き切手は、1000枚以上まとめて注文するとバックシートのデザインや10枚ある写真部分を全て異なるものにすることが出来ます。これをオリジナルデザインと呼びます。バックシートのデザインがオリジナル(独自)という連想ですね。
話を元に戻して、国立銘とウォルソン社銘の違いを表現する時、写真は同じ物の方が面白いですよね。再び、室伏広治選手の写真付切手、今度はブルーです。

実は、このように写真が同じというものはかなり限られています。何故かというと、オリジナルデザインで一度注文しても、少数での追加注文が出来ないからです。つまり、二回目も新規と同じ扱いつまり、1000枚以上の注文が必要です。2回写真付き切手を作成し、かつ、国立銘とウォルソン社銘の出現時期とそれぞれ重なる必要があるのです。これに当てはまるのは、ここで挙げた室伏選手を含む「アテネオリンピック日本代表団応援」の他に、愛知万博「愛・地球博(一次)」(2004年7月28日販売)、ピンチェンジ社販売(銘版で利用した鉄腕アトムなど)など少数です。幸いに、「アテネオリンピック日本代表団応援」や「愛・地球博(一次)」は、写真付き切手の中では製作数が多い方(だと思う)なので、入手できる内に入手したら良いでしょう。
また、今後、最初ウォルソン社銘で、次に国立銘というケースが出てくる可能性もあります。「愛・地球博(二次、三次)」にその可能性は大いにあるでしょう。出現したら、入手して置きたいですね。


すまいる(シール式)
シール式”ほのか”の次は、シール式”すまいる”をみましょう。”ほのか”より複雑です。

”ほのか”の所で解説しましたので、上記の2枚の違いはすぐに分かりますね。左側の目打が粗いのが国立銘で、右側の目打が細かいのがウォルソン社銘ですね。
”ほのか”と同様に、シートでは、次の画像で示すように、銘版ですぐに区別出来ます。


”ほのか”のピンク色に対して、ブルーになっています。それで、切手のない銘版だけでも、”すまいる”か”ほのか”かの識別がすぐに出来ます。

また、”ほのか”と同様に切手本体とタブ(写真部分)との間の目打の形状が、国立銘はミシン目状で、ウォルソン社銘は独特な波目状です。

”ほのか”では、同一写真を並べましたが、ここでは違う写真です。というのは、これを書いている時点では、まだ同じ写真が出ているという情報がないのです。いずれ出ると思いますが、今の所、知りません。同じ写真が出たら入手したいものです。

なお、ここまでは、”ほのか”と全く同一です。そして、”ほのか”は、ここで終りした。しかし、”すまいる”はここで終わりではありません。次の画像を見て下さい。

・・・・・・・。見たところ、目打は同じですねぇ。そう、同じなのです。同じ国立銘なのです。しかし、形態が異なるのです。
左側は10面シート(10面シートの例)、右側は4面シート(4面シートの例)です。4面シートは、デモンストレーション販売と言って、プリクラ風の機械の前に立って写真を撮るとその場で印刷されるというものです。なので、原則として、人間が立っていてバックがグレー系のカーテン風であれば、4面シート(デモンストレーション販売)と思っていいでしょう。但し100%そうだとは言い切れません。何故なら、世の中には、奇妙なことを思いつく人もいて、バックがグレー色のカーテン風の写真で、10面シート作成を試みるかも知れませんし、逆にデモンストレーション販売で、顔をカメラに近づけ顔をドアップ(バックがない)したものが有り得るからです。カバンなどをカメラに近づけてアップするのも充分有り得ます。実際、2001年の「日本国際切手展2001」会場(「東京ビッグサイト)で試行販売された「写真付き切手」に、国際切手展のロゴ入り紙袋のロゴをアップしたものを見たことがあります。始末が悪いことに、ロゴ入りの方が人物より国際切手展らしく見栄えがするのです。そして、実は販売側でややこしいことをしてくれたものがあります。浜名湖花博でのデモンストレーション販売(シート地は4種類:その一つ)はバックがグレー系のカーテン風になっていません。詳しくは調べていませんが、いくつかがあります。郵政公社東海支社、サービスはいいのですが、収集上困ったことをしてくれたものです。

そして、”すまいる”は、まだまだ続くのです。ほんと”ほのか”に比べてややこしいのです。次の画像を見て下さい。

これまた、2枚とも目打は同じです。そう2枚とも同じ国立銘なのです。えっ、左側はさっき出たデモンストレーション販売(4面)というのは分かるが、右側は何なの・・・と思いますよねぇ。どう見ても、普通の写真にしか見えないでしょうねぇ。どこかの写真を10面シートで作成したとしか思えませんね。実は、これも、デモンストレーション販売(4面)の分類に入るのです。デモンストレーション販売の機械で販売されるのだが、写真で撮影した人物でなくあらかじめ設定された画像を印刷するというもので、現在の所、7種類の画像があります。浜名湖花博4種類、愛・地球博3種類あります。いずれも、また郵政公社東海支社です。

浜名湖花博(4種類)

単片上では4種類ですが、シート地も4種類(その1その2その3その4)あり、4種類のシート地とも4種類の単片が同じ順序で並ぶという変則なものです。単片からは、どのシート地からかが分かりません。

愛・地球博(3種類)

単片上は3種類ですが、シート地が4種類(その1その2その3その4)あり、3種類のシート地に会場全図と花が2枚ずつ配置され、1種類のシート地がシート地も写真もキティです。切手の配置も変則で、実物を見ないことには、切手の配置をすぐには理解出来ないでしょう。

そして、浜名湖花博の10面シート通信販売があります。バックシートは4種類あります。でも、これは、単片では区別つかないのと、形態が郵政公社へ注文するスタンダートと同じなので、個人が作成する通常の通信販売の10面と同じ扱いとしています。もちろん、どなたか研究して、単片でも識別が出来るかもしれませんが、少なくとも国立銘とウォルソン社銘を目打で区別するように容易には出来ないではないかと思います。これまた郵政公社東海支社です。商魂逞しいのはいいのですが、複雑にしてしまい、困ったものです。

まとめると、”すまいる”は、”ほのか”のバラエティに加えて、デモンストレーション販売(4面シート)、郵政公社東海支社関連(浜名湖花博・愛・地球博)のバラエティが加わり、バラエティが豊富になっているということです。

(続く)





のり式
(工事中)