緑弥勒菩薩像50円コート紙
(識別を中心に)

緑弥勒菩薩像50円コート紙は、現行切手(というより、過去になった動植物国宝シリーズが正解か?)収集家に知られていて、かつ、一時大きな話題になったため、一般収集家にも割と知られているようです。日専(日本切手専門切手カタログ)2005年版で、使用済の評価が3000円となっています。ちなみに、以前は5000円で評価されていたのですが、発見が相次いだため、現在の評価になっています。
ここでは、コート紙の識別方法を中心に書いてみます。

緑弥勒菩薩像50円について
緑弥勒菩薩像50円は、封書50円期(昭和51年1月25日〜昭和56年1月19日)の主役で大量に使われた切手です。封書料金に適合していて、かつ、現在ほど記念切手が郵便にまだ使われていなかったのと、郵便物に切手が貼られる比率が高かったので、大量に使われていました。当時のキロボックスを開けると、うんざりするほど出てきます。半分以上は、緑弥勒菩薩像50円と言って良いでしょう。

コート紙について
コート紙は、一般の用紙と比べて光沢があり、当時は、記念切手に使われていたため、「記念紙」とも呼ばれていました。

しかし、平成シリーズでは、コート紙が一般的に使われています。現在良く使われている50円、80円切手も、なんと!コート紙なんです。昔、記念切手専用に使われていた贅沢な紙が、現在は、普通に広く使われているのです。ですので、「記念紙」という呼称はちょっと違和感があります。「コート紙」と呼ぶのが正しいでしょう。

そして、低額面の10円は、コート紙ではありません。非コート紙なんです。
早い話、現在の80円と10円の紙の光沢の違いが分かれば、緑弥勒菩薩像50円コート紙の識別ができるのです。
コート紙と非コート紙の識別に入る前に、コート紙と非コート紙の実物を示します。

コート紙の実物

2枚ともコート紙です。左側は熱田局(愛知県名古屋市)昭和53年7月28日、右側は福島・瀬上局 昭和52年3月28日です。紙を水はがしすると、昭和52年か53年か58年か分からなくなるので、水はがしせず紙付きのままにしています。


左側の410円壺もコート紙です。コート紙が話題になっていた時に使われていた普通切手で、コート紙調査時の比較に重宝していました。そして、右側の80円は現在、もっとも手軽に入手できるコート紙ですね。

非コート紙の実物

2枚とも非コート紙です。消印は東海地域を選びました。

さて、この6枚を使って実際に光沢を比較します。白熱灯と蛍光灯で試してみます。うまく写真が撮れるといいですが・・・。

白熱灯下での比較
まず、白熱灯で、光沢を比較してみます。

非コート紙2枚を真ん中に置き、上下にコート紙を置きます。下の2枚が、緑弥勒菩薩像50円コート紙です。デジカメの技術あんまりうまくないので、ちょっとボケていますけど、先に上げた6枚であることが分かりますね(?)。下の左側のコート紙(熱田局)、もう既に光沢が出ています。


視線を、切手と平行になるように下げます。上の左側のコート紙(410円壺)の光沢が強く出ています。また、下の2枚も光沢が見られますね。但し、上の右側のコート紙(80円切手)の光沢が弱い・・・。


視線を更に、切手と平行になるように下げます。ピントがあわずボケてしましましたね。上の右側のコート紙(80円切手)の光沢がまだ弱いのですが、中央の非コート紙2枚よりは光沢がはっきりしていますよね。(^^;;

蛍光灯下での比較
今度は、蛍光灯の下で、光沢を比較してみます。

6枚の切手は、白熱灯下での比較と同じ配置です。白熱灯下より、白っぽくなっています。


視線を、切手と平行になるように下げます。上の左側のコート紙(410円壺)の光沢が強く出ています。また、下の2枚も光沢が見られますね。但し、上の右側のコート紙(80円切手)の光沢が弱い・・・。


視線を更に、切手と平行になるように下げます。が、上の右側のコート紙(80円切手)の光沢が出てませんねぇ。まぁ、左側のよねコート紙(410円壺)の光沢がはっきりしているので、これで良しとしとこう・・・。(^^;;
これでも、何回もデジカメで、フラッシュ無し(フラッシュだと光沢比較が出来ない)で、撮ったんです。いつも410円壺をコート紙調査時の比較に使っていたクセが出たのかなぁ。デジカメ技術、磨かんとあかんなぁ。ま、ともあれ、これで、光沢による識別方法は、分かって戴けたでしょうか。

スクリーンの網目
もう一つの識別方法は、スクリーンの網目です。コート紙の方がスクリーンの網目がはっきりしています。

うまく表現できてませんが、左側の2枚がコート紙、右側の2枚が非コート紙です。左側は、背景が緑色で塗りつぶされず、右側の方は、背景が緑で均一に塗りつぶされて、なんとなくノッペラな感じがしませんか?但し、非コート紙だけでみると網目がはっきりしているように見える場合もあります。その場合は、光沢を確認してみるといいでしょう。


識別の方法は、如何でしょうか?続けて、緑弥勒菩薩像50円コート紙の出現時期と地域についての話です。

コート紙の出現時期と地域について
郵趣研究34号(2000年夏)によりますと、出現最初期データは、昭和52年3月5日で、出現地域は、東海地域の静岡県・愛知県・三重県と福島県の4県。詳しくは、郵趣研究34号(2000年夏)を見て下さいね。但し、出現最初期データは更新されている可能性大です。もう数年前のデータですので。(^^;;

ブロック他

緑弥勒菩薩像50円コート紙は、複数のブロックが確認されています。静岡南局ローラー印のブロックは、上記の他にも、ネットオークションで数点見かけた。別納なんかで使われたのかもしれませんね。郵趣研究34号(2000年夏)にも16枚や10枚ブロックの記述があります。ブロックの他にも、エンタイア、鉄郵印がオークションに出されたのを見た記憶があります。

最後に
写真で、撮影して、コート紙と非コート紙の識別を試みたのですが、非コート紙単独では、光の当て方によっては、強い光沢があるように見えるので、困りました。そんで、並べて見たんですが、カメラの位置によって微妙に誤魔化せるというか、うまくいかないので、3枚にして、3枚の中央を非コート紙にして、両脇をコート紙にしてみました。80円ヤマセミの光沢をうまく撮れなかったのですが、まぁ、許して下さい。感じはつかめたかなと思います。
実は、私も、実際にコート紙を探す時、しばしば(というより、しゅっちゅう)錯覚を起こします。特に、コート紙出てこないかなぁ、っていう心理状態になっていると、すぐ錯覚してしまいます。さらに、非コート紙の中でも、なんとなく光沢があるというものがあるので始末に悪いです。でも、本物のコート紙と比較すると、はっきり違います。比較するとすぐに分かります。光沢に見えた光沢が光沢で無いように見えてしまいます。そんで、比較用に、コート紙である410円壺などを傍らに置いて、オヤと思った時は、比較します。すると、すぐにコート紙ではないことが分かります。コート紙を見つけた場合は、比較するまでもなく、すぐにコート紙だと分かります。
おわり。